【私論】塾の先生として最も大切なことはスーパーとコンビニが教えてくれる

私は小さいころ家族で外食する機会が2か月に1回ほどあったと思う。

中華料理屋さんが多かったが、たまに回転ずしに行くことがあった。

当時の回転ずしは、全皿100円ではなく、商品によって値段がちがっていた。

玉子は1皿150円

いくらは1皿300円

といったかんじである。

私には3歳年上の姉がいる。

家族で食事を始める前に、姉から言われていたことがある。

「値段が高いお皿を選んではいけないよ」

と。

だから、高いお皿を手に取ることはなかった。

別にそれが不満とか悲しいと思ったことはない。

むしろあたりまえであると考えていた。

 

我が家はお金持ちでもなければ貧乏でもなかったと思う。

自営業の父とそれを手伝う母。

そして姉と私の4人暮らしである。

ただ「ぜいたくはしてはいけない」と教えられてはきた。

 

例えば遊園地に連れていってもらったときに

遊園地内のジュースを買うことはなかった。

当時でも300円ぐらいはしていたと思う。

もちろんのどがかわいたら水筒にはいっているお茶を飲んでいた。

 

さて、私も塾の先生をするようになり子どもたちに言うことがある。

「文房具を大切にしなさい」

「授業は休まずに来ること」

「1回1回の授業を大切に受けるようにしよう」

「塾に通わせてもらえることに感謝しないといけないよ」

などである。

なぜこれらのことを言うのかと言えば

それは

保護者が働いたお金で、塾で勉強できたり、文房具を買ってもらえたりするからである。

 

私は勤務先近くのコンビニやスーパーに行くことがよくある。

そこでは保護者の方がパートとして働いていることがある。

その姿を見るとはっと気づかされる。

「この働いたお金から授業料をもらっているのだと」

 

子どもには「親に感謝しなさい」とえらそうに言いながら

自分はいったいどうなんだろうか?

矛先を自分に向けたとき、答えられない自分がいる。

もちろん塾での指導を提供し、その対価としてお金をもらうことは当然である。

しかし、それがあたりまえだと思っていないだろうか。

きちんと感謝できているのだろうか。

自信を持って「はい」と言えない。

 

塾の費用はやっぱり高い。

どれだけ低価格だとしても中学生なら月謝1万円はする。

「月謝が1万円だったら安い」

という人もいるかもしれない。

でも私は高いと思う。

私は塾の月謝が高いのを非難するつもりはない。

適正な価格で提供するのであればなんの問題もない。

 

問題なのは、塾の月謝が高いとも安いとも思わず、あたりまえのように保護者からもらってしまうことなのだ。

 

もし自分が月謝をもらうことをあたりまえのように思うときがあれば

スーパーやコンビニに行って、保護者の働いている姿を見に行こうと思う。